スマホで本当にデシベルを測れる?
測れます。ただし限界はあります。どのスマホにも空気の圧力変化を電気信号に変えるマイクがあり、騒音計アプリはその信号をデシベルに換算します。多くのアプリが表示するのはA特性のdB(dBA)です。騒音や聴覚の評価に使われる尺度で、耳が最も敏感な中音域に比べて、低くうなるような音を小さめに数えます。
iPhoneには騒音計アプリが標準で入っていません。コントロールセンターの「聴覚」コントロールが示すのはヘッドフォンの音量で、部屋の騒がしさではありません。Apple製品で周囲の騒音を測るのは、Apple Watchの「ノイズ」Appです。Apple Watchを持っていないiPhoneや、Androidスマホでは、騒音計アプリが必要です。
スマホでデシベルを測る手順
どの騒音計アプリでも手順は同じです。マイクが音をさえぎられずに安定して拾えるようにし、一瞬のピークではなく平均値を読むことが目的です。
- メインのマイクの位置を確かめます。多くのスマホでは下端の充電端子の横にあります。指や厚いケースでふさがないでください。
- スマホは腕を伸ばして持つか安定した場所に置き、マイクを音源に向けます。手やポケットの中では音がこもり、数値が下がります。
- 測っている間は自分も静かに。話し声、スマホにかかる息、画面のタップも数値に表れます。
- 30〜60秒間測り、最初に出た値ではなく平均値と最大値を記録します。
- 風や、扇風機・通気口からの直接の風は避けます。動く空気がマイクに当たると、実際の騒音ではない低いゴーッという音が加わります。
- 2つの場所や時間帯を比べるときは、毎回同じ位置、同じ高さで測ります。
Wringの騒音計(dBメーター)を使う
Wringには、水抜き、ホコリ掃除、スピーカーテスト、トーンジェネレーターと並んでdBメーターがあります。マイクで音を拾い、音の大きさをデシベルで表示するので、上の手順を専用の機材なしで実践できます。初めてメーターを開くときに、マイクへのアクセス許可を求められます。
メーターには、使うかどうかを選べるカメラ測定モードがあります。カメラを向けてシャッターをタップすると、デシベル値を書き込んだ写真が作成されます。写真はスマホ上で作られ、アップロードはされません。保存するか、自分で「共有」を選ぶかはあなた次第です。バーや作業場、隣の家のパーティーがどれだけうるさかったかを、その場の様子と一緒に記録したいときに役立ちます。
カメラへのアクセスは、カメラモードを初めて開くときに求められます。iPhoneとiPadでは、Wringが求めるのは写真の追加の許可だけで、既存のライブラリを見ることはありません。Androidでは写真がPictures/Wringに保存されます。
Wringは広告と一部の制限つきで無料で使え、Proにすると両方なくなります。iPhone・iPad版はApp Storeから、Android版はGoogle Playからダウンロードできます。
スマホの騒音計はどれくらい正確?
アプリの出来がよければ、多くの人が思うより正確です。米国の労働安全衛生研究所(NIOSH)は192本の騒音計アプリを調べましたが、精度の基準を満たしたのはごく一部だけでした。NIOSHが自ら作ったiOS用アプリ「NIOSH Sound Level Meter」は、iPhone内蔵マイクを使った場合、プロ用の基準測定器との差が約2dBA以内に収まります。
Androidは判断が難しくなります。マイクや音声処理がメーカーごとに違うため、NIOSHもAndroid版を出していません。Androidの値は、うるさくなったか静かになったか、対策の前後でよくなったか悪くなったかを見る相対的な目安として使いましょう。
さらに精度が必要なら、NIOSHは音響校正器で校正できる外付けマイクを勧めています。それでもNIOSHは、スマホアプリはプロ用の騒音計や騒音ばく露計(ドシメーター)の代わりにはならず、法令順守のための測定には向かないとしています。
数値の意味:80dB、85dB、95dB
デシベルは対数の単位です。3dB上がると音のエネルギーはおよそ2倍になります。つまり聴覚へのリスクで見ると、88dBは85dBより少し大きいだけではなく、ばく露量が2倍です。NIOSHの指針で、安全に聞ける時間が3dBごとに半分になるのはこのためです。
測定値を読み解くときは、公的な保健機関による次の目安を参考にしてください。
- 85dBAは、NIOSHが8時間労働の推奨上限としている値です。このレベルでは、約1m離れた相手と話すのにふつう声を張る必要があります。芝刈り機、掃除機、多くの電動工具は85〜90dBA程度です。
- NIOSHによると、3dBA上がるごとに安全なばく露時間は半分になります。
- 95dBA以上では、約1m先の相手に声を届けるのに叫ぶ必要があります。バー、ナイトクラブ、チェーンソー、大規模なスポーツイベントなどが典型例です。
- Appleの「ノイズ」Appの案内では、約80dBに1日約5.5時間、または約90dBに約30分さらされると、一時的な難聴を引き起こす可能性があります。
- 個人用オーディオ機器の安全なリスニングに関するWHO-ITU基準は、成人の基準として週40時間・80dBを用いています。
やってはいけないこと
騒音計アプリは騒音を理解するための道具です。次のような使い方をすると、数値や結論を誤ります。
- 大きな数値を出そうとして、スピーカーやエンジン、排気口にスマホを押し当てないでください。人が実際に立ったり座ったりする場所で測りましょう。
- 1回の測定値だけに頼らないでください。ドアを閉める音や一度の叫び声では、全体の騒音レベルはわかりません。
- スマホの値を、職場の基準や法律上の上限を超えた証拠として扱わないでください。基準への適合を示すには、校正済みの計測器と適切な測定方法が必要です。
- 自分の聴力を判断するのに騒音計を使わないでください。dB値が示すのは周囲の音で、耳がまだどれだけ聞こえるかではありません。
- ケースやポケット、グリルにたまった糸くずでマイクが半分ふさがったまま測らないでください。
プロ用の騒音計や専門家に頼るべきとき
数値が結果を左右する場面では、校正済みの騒音計を使うか、音響の専門家に相談してください。職場の騒音評価、正式な苦情に発展しそうな隣人や大家とのトラブル、店舗が地域の規制値を守っているかの確認などです。それでも、その段階に進む価値があるかを判断するのに、スマホの測定値は役立ちます。
耳鳴りがする、大きな音のイベントのあと聞こえがこもる、会話が聞き取りにくいといった症状があれば、耳鼻科医や聴覚の専門家に相談してください。騒音計はその場所がうるさいことは教えてくれても、聴覚のダメージを診断することはできません。
よくある質問
スマホの騒音計について、よく検索される質問に簡潔に答えます。
- iPhoneに騒音計は内蔵されていますか? 部屋の騒音を測る機能はありません。コントロールセンターの「聴覚」コントロールはヘッドフォンの音量を示します。周囲の騒音には、Apple Watchの「ノイズ」Appか騒音計アプリが必要です。
- 騒音計アプリは正確ですか? iPhoneのよくできたアプリなら、基準測定器との差は約2dBA以内に収まります。Androidは機種によって異なります。目安として使ってください。
- どれくらいからうるさすぎますか? NIOSHの指針では、85dBA以上に長時間さらされると聴覚へのリスクが始まり、3dB上がるごとに安全な時間は半分になります。
- 数値が激しく変わるのはなぜ? 音は常に変化しているからです。リアルタイムの数値ではなく、30〜60秒間の平均値を読んでください。
- 騒音の苦情に測定値を使えますか? 個人的な記録としては使えます。カメラモードで撮った日付のわかる写真も役立ちます。正式な手続きでは、どんな測定が認められるかを窓口に確認してください。
- 測定値が低すぎる気がします。マイクがふさがっていますか? 下部のグリルにたまった糸くずで音がこもることがあります。グリルを安全にブラシで掃除する方法はスマホのスピーカー掃除ガイドで紹介しています。スピーカー側は無料のオンラインスピーカーテストで確認できます。
